秋田県仙北市の金峰神社に、ピンクの眉毛と頭髪の仁王さまがいます。

杉の巨木で彫刻された仁王さまは、こうして写真で見ると愛嬌のあるお顔をしていますが、実物は鬱蒼とした森のなかに佇んでいるからか、荘厳で怖いくらいの迫力があります。
案内板には『仁王の股を三度くぐらせると小児の健康増進に霊験がある』と書かれていましたが、柵もあり、とてもじゃないけど近寄りがたい雰囲気でした。
目を引いたのは、ピンクの眉毛と頭髪(↓)。

珍しい配色なので、最初は赤が退色したのかな?と思いましたが、よく見ると赤はしっかり残っているので、あえてピンクで塗られたのでしょう。定期的にメンテナンスされていることが伝わってきます。
きっと、地元の方々に愛されている仁王さまなんでしょうね。

ピンクという配色センスに、じわじわと親近感がわいてきます。
ちなみにこの髪型は、三山髻(さんざんけい)といって、今でいうお団子ヘアー。ひとつにまとめたお団子を3つに分けて山を作っています。
こちら(↓)は阿形像で、手に仏教の法具である金剛杵(こんごうしょ)を持っています。

こちらは、口をキュッと結んだ吽形で、右手は小指を人差し指を立てた「忿怒拳(ふんぬけん)」とよばれる手印をしています。

仏像の手印には、さまざまな種類があり、この忿怒拳は激しい怒りや憤りを表すポーズ。仏教の敵に立ち向かう強い意志が感じられます。
仁王像というと筋肉質で、掌をパッと開いたこのポーズ(↓)をがお馴染みなので、珍しいポーズだなぁと思いながら参拝しました。

仁王さまが安置された仁王門をくぐると、杉の巨木に囲まれた長い参道が本殿まで続いています。
樹齢350~800年以上になるこれらの杉は県の天然記念物にも指定されているそうで、美しい光景に思わず息をのみました。

と、参道に足を踏み入れた瞬間、一緒に行った4歳の娘が嬉しそうに、
「わーい、神様のからだの中に入るの、はじめてっ!!」と…。
その言葉に、ゾゾゾと身の毛がよだちましたが(笑)、確かに大きな仁王門をくぐって巨木の杉並木を歩いていると、自分がとてつもなく小さな存在に思えきます。

それは、荘厳な仏様にご挨拶をして、八百万の神様に見守られながら、未知の領域を歩くという不思議な感覚で(まさに神仏習合)、、、子どもながらに壮大な何かを感じとったのかもしれません。
本殿入口では、苔に覆われた狛犬の親子がお出迎えしてくれました。(これまた可愛い!)

金峰神社には神秘的な光景と空気が流れていて、心が浄化されていくような気持になりました。
と、同時に一抹の不安や怖さを感じたのは、きっと大自然の神気なのでしょう。ここでしか味わえない体験だなぁとしみじみ感じながら、境内をぐるっと歩いたのでした。
金峰神社は、ここに本当に神社があるの⁉ と不安になるような立地にあるので、雪が積もってしまうと神社へのアクセスも難しかもしれません。
なので、雪が降らない時期の参拝がおすすめです。

角館から車で15分くらいなので、田沢湖や角館にお立ち寄りの方は、ぜひ足を延ばしてみてください。
追伸:仁王門の軒下には、建築力士像(屋根を支える小さな力士)もいますので、ぜひ探してみてください!!

金峰神社
014-1112 秋田県仙北市田沢湖梅沢東田235
駐車場あり(駐車場に公衆トイレあり)
