見る人の心をパッと明るくしてくれる着彩と、素朴で親しみやすい造形が魅力の八橋人形(やばせ・にんぎょう)。
秋田市八橋地区に伝わる土人形で、年末には干支の丑が好評でした。ナウビレッジのオンラインショップでも、入荷するとほどなくして売り切れてしまい、1月にも再入荷したのですが、今もまた再々入荷待ちとなっています。
八橋人形については、フリーペーパーvol.2で詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひこちらを読んでみてください。【フリーペーパーvol.2 八橋人形伝承の会(※PDFデータです)】
愛好家たちの手によって大切に受け継がれている八橋人形に、この度「鳩笛」が新登場です!

一目見たら忘れないようなエキゾチックな配色の鳩さんたち。この色合い、最初は驚きましたが、見れば見るほどトリコになります(笑)。
尾っぽのところに空気穴があり、ここから息を吹き込むと、ホー・ホーという音が鳴る仕組みです。土人形ならではの包み込むような優しい音が、耳に心地良く響きます。

八橋人形は型に粘土をこめて成形しますが、近年は鳩笛の型が見当たらず作られていませんでした。でも会のメンバーが昔の鳩笛を持っていたため、そこから型を作って復刻することができたそうです。
楽器(笛)としての造作が難しく、良い音を出すために穴の位置や角度を変えながら数か月の試行錯誤が続いたそうで、私が電話で状況を確認した時も「もうちょっと待ってね、もう少しでちゃんと音が出ると思うから…」と言っていたのを思い出します。
実は私も、この復刻を(首を長~~くして)心待ちにしていたひとり。

フリーペーパーvol.2を制作中に八橋人形のことをあれこれ調べていたら古い文献で「鳩笛があった」という記述を見つけ、それを梅津さんにお伝えしていたのです。もし復刻できることがあったら、ぜひ連絡ください (^ ^) と。だから今回の鳩笛復刻はとても嬉しくて、感慨深いものがありました。
一度失われてしまったものを復活させるというのは想像以上に大変で、労力のかかる仕事です。膨大な時間と、それに伴う情報や技術も必要です。八橋人形伝承の会では、梅津さんが熱意と愛情を持って制作に取り組んでいるので、こうした復刻が実現しましたが、決して簡単なことではありません。

ちなみにこの鳩笛という郷土玩具は、各地に存在します。
遊び人形としてだけでなく呪具やおまじないとして親しまれており、食膳に置くと子どもが食べ物をのどに詰まらせないと言われることも。秋田では、『子どもが喉に食べ物を詰まらせた時に鳩笛をホー・ホーと吹くとつかえが取れた』と、言われています。
なんとも不思議な言い伝えですが、鳩は平和のシンボルとして知られていますし、八幡宮では鳩が神の使いと言われているので、それらが関係しているのでしょう。
私も4歳と2歳の子どもがいるので、子どもが食べ物を喉に詰まらせた時の恐怖と焦燥感はよく分かります。一刻を争う事態に鳩笛を吹くことはできないと思いますが(笑)、おまじない的要素がある可愛い玩具が傍に居てくれたら、どれほど心強いか。てんやわんやな子育て中は、こんな小さな存在が心の支えとなり、救われることも多いのです。
子どもの健やかな成長を願う郷土玩具「鳩笛」、秋田の歴史ある文化として広く伝えていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
・オンラインショップで販売中!出産祝いやお誕生日の贈り物にも喜ばれると思います。
http://nowvillages.shop-pro.jp/

◎鳩笛(八橋人形) 1,800円+税