【秋田折々】やっぱり心を掴まれる凧の世界!

年明けに、子どもたちと角館樺細工伝承館で開催中の「秋田の凧 日本の凧 世界の凧」展を観に行ってきました。

樺細工伝承館は、その名のとおり角館の伝統工芸・樺細工を紹介するための施設で、1階は資料や作品展示、工芸士による制作実演などが行われており、2階にある1室では年に数回の企画展が行われています。展示スペースはさほど広くはありませんが、今回は秋田県立博物館の出張展示ということで館所蔵の凧がずらりと展示してあり、それがもうヨダレが出るくらい面白くて圧巻でした。

許可を得て撮影

目的はパンフレットに載っていた秋田能代で作られている「能代凧(べらぼう凧)」でしたが、展示パネルの解説に秋田各地で凧が作られていたと書いてありビックリ! 能代だけでなく、秋田市、男鹿、本庄、横手、湯沢、そして角館でも凧が作られていたそうです。

えー!? そんなに凧の需要があったということ? というか、こんな大雪の中、一体どうやって凧を上げたんだろう?という素朴な疑問が私の頭の中でぐるぐるぐるぐる…。隣でギャピギャピ騒ぐ子どもたちをそっちのけで、食い入るように展示を観ました。こういう時、身内や親類に昔話をパッと聞けないのが、移住者の寂しいところです。館内には私たち親子しかいなかったので、地元の方と雑談することもできず。当時はどんな情景だったのか、ひと昔前の凧上げ事情について、いつか機会があったらお話を伺ってみたいです。

そして展示物のなかに、気になる凧がありました。愛媛宇和島で作られている「からくりだるま」です。(上のイラストが「からくりだるま」です)

人の形を模した奴凧ですが、だるまがモチーフになっています。よく見ると目が繰り抜かれていて、金色の部分がクルクル回る仕掛けになっています。そのため「目抜きだるま」と呼ばれることもあったとか。左右の絵付けがシンメトリー(左右対称)になってないところは、さすが愛媛。姫だるまの絵柄もそうですが、愛媛の手仕事は絵付けや仕上げが丁寧で細かいのです。素朴で可愛い「からくりだるま」が私の心をぎゅっと掴んで離さないので、図書館や文献でそれらしい資料を探していますが今もまだ見つからず…、もう少し調べを進めたいと思います。(何か面白い発見があったら、またこちらのブログでご紹介します!)

  

ちなみに愛媛の内子町には、五十崎(いかざき)大凧合戦という伝統行事があります。(昔のブログ→ 2015年2月23日「五十崎大凧合戦のこと」 2015年2月25日「愛媛の凧博物館のこと」)川の両岸で大きな凧が舞う光景は一見優雅に見えますが、実は凧にはガガリと呼ばれる刃物が仕込んであって、それで相手の凧の糸を切り合うという戦いです。まさに合戦。糸を切られて、大きな凧がぷわ~んと飛んでしまったときの無念さは、言葉にならない哀愁感が漂います。大人も子どもも見物客も楽しめる良い行事だったなぁ~と、懐かしく思い出しました。

今年はコロナの影響もあり、厄除けや縁起物が人気だという話をよく聞きます。凧には厄除けや厄払いの意味も込められているので、色や造形、制作された地域(国)をヒントにしながら、その凧にどんな願いが込められているのかを想像するとより楽しく観ることができます。本展は秋田だけでなく、日本各地や世界の凧が展示してあったので観終わった後は、各地を旅したような気分になりました (*^-^*)。と思えば、ハテ?と思うようなヘンテコな凧もあったり (笑)。作り手の嗜好や発想が自由に表現された奥深い凧の世界、やっぱり大好きです。

国や時代は変わっても、人々が大空に込めた想いはきっと万国共通なんでしょうね。あぁ、大きな風が吹いてコロナを一気に吹き飛ばしてくれないかなぁ~とも思ったり。他県の展覧会にはなかなか足を運べないけれど、こんな時期だからこそ地元の文化に目を向けてしっかり学んでおこうと思いました。年明けから楽しい出会いにワクワクでした。

 

・「秋田の凧 日本の凧 世界の凧」展  会場:角館樺細工伝承館にて(~1月26日まで)

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