秋田県由利本荘市で藁細工をする武田謙一さんが作る「みごほうき」。

「みごほうき」という名称、初めて聞いたという方もいるかもしれませんが、みご(実子)というのは、稲の穂先から第一節までのことで、フサフサとした柔らかい穂先を束ねて作られたのが「みごほうき」です。
さ~さ~という柔らかな掃き心地が特徴。テレビやデスク周り、飾り棚や玄関のちょっと気になるところを手軽にサッと掃けるほうきです。

武田謙一さんは農家に生まれ、小さな頃から米俵作りを手伝うなど、藁に親しんで育ちました。
その後、専業農家から兼業農家になり、近年は藁細工から遠ざかっていましたが、努めていた会社を退職後、本格的に藁細工を再開しました。今年で3年目だそう。

藁は、長いお付き合いの農家さんが注連飾り用に青刈り(稲穂が育ち過ぎる前の青々とした状態で刈ること)したものを使用しており、藁細工のノウハウは殆ど独学。小さな頃の微かな記憶はあるものの、3年前に本腰を上げてから、本や資料で見識を深めてきたそう。
「今も、試行錯誤の連続」と言うものの、卓越した技術はご覧の通り!作業場には、各地の注連飾りを模したたくさんの藁細工が飾られていました。

模倣と言えど、各地の注連飾りを作るのは、そう簡単なことではありません。
綯う技術ひとつでも、右綯い、左綯い、大根締め、牛蒡締めなど様々で、造形を完成させるためには、編み込む段取りやノウハウが必要です。それらひとつひとつを、くまなく勉強しながら日々技術を深めている武田さん。
武田さんの美技と探求心に心が動かされ、作業場を訪れた私も終始ワクワクが止まりませんでした!これからが楽しみでなりません。
・オンラインショップ「みごほうき」 http://nowvillages.shop-pro.jp/?pid=152722074