【工房訪問】イタヤ細工

イタヤ細工の職人・佐藤定雄さんの工房へ行ってきました。

イタヤ細工とは、イタヤカエデの若木を裂いてつくられる秋田県・角館の伝統産業。ひと昔前は農作業に欠かせない、かっこべ(腰かご)やカゴが重宝されていましたが、今は暮らしの中で使われるカゴやお盆、おにぎり入れなどが作られています。

 

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ちょうどその日は「ちょうど木を割って裂く作業をするから!」と、貴重な木割の作業を見せいただきました。

というのも、イタヤカエデの若木は近年減少傾向にあり、細工に適した木を採ることがなかなか難しくなっているのだとか。それに加えて、熊が出たりして(警報が出ると山に入れなくなってしまうので)採れない年もあるのだそう。

 

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カゴやザルは、編み作業がクローズアップされることが多いのですが、材料の調達と(編むまでの)下準備が大変で、そこに製作の肝があると私は思います。この工房でも、材料づくりに8割以上の時間を注いでいます。

特にイタヤカエデの場合は、樹皮ではなく木そのものなので、切った木を山から降ろすという作業もかなりの重労働…。「年がいってくると山に入るのも大変でねぇ」と、話していましたが、想像するだけでも大変な作業です。

 

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でも工房では佐藤定雄さんと智香さんに弟子入りした姪っ子のあずささんが作業をしていて、この工房では4代目となるあずささんの存在を、頼もしく嬉しそうに話す智香さんの表情が忘れられません。

あずささんが見せてくれたのは、年輪に沿って薄く裂いた木にかんなをかけるという「面取り」の作業。

 

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厚紙ほどの薄さの木の端を持ち、ぶれることなく撫でるようにシューッと角を落としていきます。気持ちが良いほどアッパレ!な美技。感激するほどの丁寧な材料づくりでした。

 

 

この日は8ヶ月の次女を連れて行ったのですが、おんぶされて背中でウンウン唸る娘に、あずささんが「イタヤ馬」をその場で編んでくれました。縁起が良いものとして親しまれているお馬さん、立ち姿も可愛らしく娘も大喜び。(そしてすぐ口に入れようとする…汗)

 

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佐藤さんご夫婦やあずささんとお話させていただき、改めて東北の手仕事の奥深さを感じました。

そして木の年輪に沿って裂いていく作業風景が、帰宅後も脳裏から離れませんでした…。木と対話しているような光景に見えたからかもしれません。

 

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ここに、イタヤ細工の真髄を見たような気がするのです。

 

(イタヤ細工のおにぎりかごを注文してきました。できあがったら、またこちらでご紹介させていただきます。)

 

 

 

 

 

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