ナゾが解けていく瞬間

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街歩きをしていると「なぜこんな形をしているんだろう?」とか「なぜこんな作りになっているんだろう?」など、その場ではすぐに理解できない建築物や事象に出会うことがよくあります。

それらのナゾをひとつひとつ解き明かしていくことが街歩きの面白さや醍醐味であり、わたしが街歩きをやめられない理由でもあるのですが、今回ナゾが解けたのは神社に鎮座する、とある狛犬のこと。

ふらふらと歩いていると、たまに出会うことがあった(特に関東の神社で)犬の形をした狛犬。いわゆる獅子型のようにゴツゴツ(毛がフサフサ)しておらず、体がシュッとスリムなので違和感とともにすぐ目にとまります。一瞬キツネにも見えるのですが、よーく見ると犬のよう。でも犬よりも怖い表情をしているし、獣のような不気味さと精悍さがあるし…。真意が分からず長いことモヤモヤしていたのですが、先日図書館で<オオカミの護符>(著書 小倉美恵子)という本に出会い、これらがオオカミ信仰のもとにつくられた狛犬であることが分かりました。

鎮座していた神社は、たぶん山岳信仰のひとつ「御嶽講」の系列神社で、そのオオカミの形をした狛犬は獅子型に対してヤマイヌ型と呼ばれているそうです。

人に憑いたキツネを祓い出す力があると信じられていたオオカミ。意外にも地元の人たちから「オイヌさま」と呼ばれ大切に崇められてきたという歴史を知り、オオカミと人との密接な関係を知るきっかけにもなりました。

読み終えた後は、腑に落ちたという感覚を越えて新鮮な気分に。オオカミが生存していてまだ身近だった当時のことを思ったり、生きていくうえでの環境について考えたり。長い歴史のなかで小さな点でしかない自分の存在を小さく感じて、なぜか心がふと軽くなったり。

地道な調査を重ねて、埋もれてしまいそうな地域の歴史を掘り起こし、興味深い本にしてくれた著者に対し、尊敬と感謝で胸がいっぱいに。わたしもこういう仕事(生き方)をしたいものです。

 

 

 

 

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